2020.05.19(Tue)
【つみたてNISA】銘柄の選び方。意外な落とし穴に要注意!
資産運用『つみたてNISA』を始めてみた。
⇒でも、口座を開いてみたら、商品が多すぎてどれを選んでいいか分からない。
⇒とりあえずネットでお勧めの投資信託を積み立てることにした
この流れ、実はつみたてNISA初心者にありがちな話。
結論からお伝えすると、残念ながら『ネットでお勧めの投資信託を選んでみたところで、それがあなたに本当にお勧めであるかどうかはかなり疑わしい』可能性が高い。
投資信託を選ぶ前に、
- ・つみたてNISAで投資するお金は何に使うか?
- ・その投資信託、〇〇ショックになった時にどれぐらい下落しそうか?の目安
を必ず確認しましょう!
つみたてNISAにおける投資信託の選択は、とっても重要!
適切に選ぶことであなたの将来の資産が変わります!
つみたてNISAは普及し始めている!
『つみたてNISAはどうやらお得らしい…』ということで、最近口座開設数が伸びているつみたてNISAの口座数。
確かに、運用益が非課税で受け取れるお得なこと(通常は運用益に対して20%の課税がある)と、いつでも払い出しもできることから、使い勝手もよく人気が出るのも分かります。
楽天証券の情報によると、2019年の3月~2020年3月での一年間で、つみたてNISAの口座数は2倍の51万口座を突破したそうです。(2020年4月3日時点)
ご相談者でも、以前は、『つみたてNISAやってみたいですけど、どうすればいいですか?』という方が多かったのが、最近は既にやっている方の方が過半数。
徐々に浸透してきているな…と肌で感じる今日この頃です。
で、そのご様子を確認してみると、…う~ん。
『これ…全部世界株になっていますけど、大丈夫ですか?』という状況の方も多いものです。
これって、『一昔前にあったリーマンショックの頃に、世界リートの調子がよくって、金融機関がバンバンそれをお勧めしてて、投資資産の100%を世界リートに投入しています!みたいな人が沢山いた状況に非常に似ているな…。』と感じています。⇒リーマンショック時に暴落し、一時リートは半分の価値になりました。
『どうしてこのファンドを選ばれたのですか?』と訊いてみたところ、ネットでググってみて、どうやら〇〇がいいらしい…と書いてあったのでという理由で始めている方が実際多いです。
でも、本当にそれでいいのでしょうか?
つみたてNISAの投資信託について
自分に合う投資信託を選ぶ前に、そもそもつみたてNISAの対象となっている投資信託について知識を深めましょう。
つみたてNISAの投資対象となるファンドって、金融機関が自由に選定し設定できるものではなく、金融庁の届け出が必要です。
つまり、金融庁から『つみたてNISAの投資対象としてOKですよ!』の承認が必要ということ。
つみたてNISAで投資できるファンドになるには、コストが安く抑えられていること、分配金の頻度が毎月出ないこと、信託契約期間が20年以上の長期であることなど、細かい規定があり、中長期の投資家にメリットのあるファンドが対象となるように工夫されています。
2020年4月時点では投資信託は174本、ETFは7本で、今後も増えていく可能性が考えられます。
つみたてNISAのデメリット
選べる種類は大きく2種類しかない
コスト面では確かに良心的なラインナップが多いつみたてNISA。
しかし、注意して頂きたい点もあります。
つみたてNISAの投資信託の中において、選べるファンドは大きく2種類しかないことです。
それが『投資対象が株式のみの投資信託か、株以外の投資対象である債券などが入っているバランス型投資信託か』のどちらかになります。
債券だけの投資信託や、世界の不動産に投資するようなREITだけを投資対象にしている投資信託を選ぶことはできません。
様々な『投資対象となる資産(株・債券・REITなど)の種類から、自分に合ったものを自分に合った比率で選びたい』という希望があっても、かなえられることはなく、様々な投資対象に投資したい場合は、バランス型ファンドを選ぶ以外の選択肢ありません。
これは人によってデメリットとなる場合があります。
投資信託選びの前に確認したい事
あなたの投資の目的は?教育費?老後資金?
例えば、もしあなたが教育費の準備としてつみたてNISAを始めた場合。
『株でガンガン増やしたい』というよりは、『そこそこのリターンでいいので、そこまでリスクを取りたくない』と考えているかもしれません。
確かに、世界株は長期で見ればリターンが高いとされる投資対象。
しかし、大切な子供の教育費を形成するために、『世界株だけで運用』って…、結構勇気がいりますよね。
過去にあったリーマンショックでは、一年で資産が約半分になってしまったこともあります。
安易に『このファンドのリターンはいいよ!』というネットの情報を基に、選択することは勧めません。
まずは、
- ・あなたの運用の目的を確認(教育費?老後?)
- ・残された運用期間
を確認しましょう。
『株だけの運用は私の準備したい資産には向いてないかも…』と気が付いた方。
結果、バランスファンドを選ぶこととなるかもしれませんが、あなたの今後の投資信託選びも、この上記2つによってかなり絞り込まれるはずです。
バランスファンド選びは慎重に
資産配分比率に注目!
『資産配分比率が運用成績の90%を決める要因となる』と言われるほど、どの資産クラス(世界株・日本債券・世界リートなどの投資対象)をどのような割合で組み入れて運用するかは、重要な要素です。
バランスファンドを選択する時に、まず確認して頂きたいのがこのポイント、資産配分比率がどうなっているか!?です。
バランスファンドですから、投資対象は確かに複数で分散されているでしょう。
だからと言って、その分散の仕方や割合まであなたに合っているとは限りません。
あなたの目的とする資産(教育費や老後資金の一部)を形成するにあたって、十分なリターンが望めそうか?減ってしまう時はその減り具合が耐えられそうかどうか…?を確認する必要があります。
下落時の目安を知る~目論見書を読みましょう~
『そんなこと、どうやったら分かるの?』というあなた、目論見書をちゃんと見たことはありますか?
目論見書とは、投資信託を買う前に交付される(もしくはネット上で確認)書類のことで、そのファンドがどんな目的で、どのように運用しているのかを詳しく確認できます。
『さら~っとは見たことあるけれど、ちゃんと見たことはない』という人は、要チェック!
特にバランスファンドの場合は、
- ・どんな資産クラス(株や債券などの投資対象)に
- ・どれくらいの割合で 投資していて、
- ・過去5年の平均リターンや、どれくらいのブレ幅で動いているか
が目論見書で分かります。
*最新の情報はマンスリーレポートの方が確認しやすいです。
例えば、あなたが教育費としてつみたてNISAで積立していく予定で、10年後には現金にして教育費として使いたいと思っているのであれば、ブレ幅の大きい株ばかりのファンドよりも、ある程度債券の入っているバランスファンドの方が適切である可能性があります。
*ほかの金融資産やライフプランによって状況は異なります。一例としてお考え下さい。
まとめ
ここ近年で、お得なつみたてNISAやiDeCoといった資産形成制度が普及しているのを感じますが、『えぃ、や!』と半ば運?試しのように投資をしている方や、『このままの運用で本当にいいのだろうか?』と不安を感じながら運用している方も少なくないようです。
また、60歳まで引き出せないiDeCoと違って、つみたてNISAは払い出しの自由があるため、利率の低い学資保険の代わりに学費を積み立てる人も増えてきています。
確かにつみたてNISAは中長期の資産形成に向いている良い制度。
だけど、ファンドの選び方を間違えると思わぬリスクを取っていることとなり注意が必要です。
- ・投資する目的に合わせて、つみたてNISAの投資信託を選ぶ
- ・選んだら、目論見書をちゃんと読んで自分に合っているか確認する
ことがまずは大切!
自分に合った投資信託を選びましょう!