2019.06.03(Mon)

変額保険の無視できないデメリット。

保険 / 資産運用

先日とある会社の変額保険の商品説明を聞く機会がありました。

その会社では『最も売れている!』という商品で、ご説明者さんも加入されているとのこと。

以前から知っていた保険ではありますが、改めてご説明を聞いたら『お!これは!』というような発見や進化に気が付くか…と思い拝聴いたしました。

 

…が、個人的な見解として売れているものがいいものとは限らない』という結論でしたので、今日はその理由について書いていきます。

 

個人的な見解ですが、変額保険で運用してもそんなにリターンが望めません(保険に必要なコストが高すぎるため運用益が利益に食われてしまう)。

その上、保障としても保険料に対して大きな保険金額を望めないという『中途半端な商品』というのが感想です。

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変額保険とは

まずは変額保険の特徴をご紹介します。

 

つまり運用成績がかなりプラスであるならば、最低保証されている保険金額よりも多くの死亡保険金などが期待できる仕組みになっていて、『インフレに強い』と説明されることも多いです。

運用実績がマイナスであっても、死亡保険金と高度障害保険金は、最低保証(基本保険金)の金額を確保されているが解約返戻金は約束されていないのが特徴です。

そのため一般の円建て元本保証型の貯蓄性のある保険に比べ、投資性の高い保険といえます。

変額保険と他の選択肢を比較した場合の具体的な計算例

実際に、とある会社の変額保険に、35歳男性が保険期間65歳の保険で保険金1,000万円の保険に加入した場合を試算してみました。

保険金額:1,000万円

月の保険料:22,420円

保険料払込累計額:約807万円

3%で運用した場合の解約返戻金額:1,000万円

 

このように払い込んだ保険料累計額807万円は、3%で運用できた場合の解約返戻金が1,000万円なので、プラス193万円近くになっているのが確かに分かります。

マイナス金利以降、運用資産の多くを債券で運用している保険会社の貯蓄性保険商品では以前のような利回りを求められないため、この結果だけ見るとなかなか魅力的なように見えます。

しかし、例えば保険料と同額である22,420円を、3%のリターンを期待できる投資信託で運用しながら360ヶ月積み立てた場合、お金がどれくらい増えているかというと約1,309万円になるのです!

 

1,000万円と1,309万円…。どうしてこんなに違いがあるのでしょうか?

 

その答えは、変額保険には保険機能があるため、保険料の内の一部を『万が一の時に保険金を払うため』に保険会社で確保し、それ以外のお金を『運用にまわしている』からです。

その結果、投資信託で3%の利回りで運用した場合との差額は30年後には300万円以上…。

 

それでは、もし35歳男性が65歳まで1,000万円の保障が必要だとして、掛け捨ての1,000万円の定期保険に加入してみたとしましょう。

最も安いと思われる保険会社で試算してみると、保険料は月2,200円で加入でき、30年間の払込保険料累計額は約79万円になります。

 

先ほどの差額300万円を思い出してください。

それほどの差額があるのであれば、79万円を掛け捨ての保険で準備したとしても、『保険は保険で』、『運用は運用で』準備した方が効率的であることが分かります。

つまり、保険は保障として割り切り、『安くて大きな保険金額を準備できるもの』、運用は効率的な資産形成に重点を置き『運用に特化した商品を選択すること』が重要ポイントになるということです。

 

 

このように、『売れていると言われる商品』が必ずしもご自身にとっていい商品であるとは限りません。

こういった小さな選択の一つ一つが、将来のご自身の資産形成に大きな影響を及ぼすことは少なくありません。

また変額保険の場合、比較対象となるのはほかの円建てで元本保証のある保険商品ではなく、投資信託と掛け捨ての保険商品の組み合わせです!

注意:今回は『保険と運用による資産形成を切り分けることの重要性』をお伝えしたかったため、分かりやすい例として、掛け捨ての保険は保障内容が30年間一定の1,000万円の定期保険で比較しました。しかし変額保険の解約返戻金の運用益が順調に積みあがっていくという前提での比較で構わない方(保険金額をそれほど重視していない方)であれば、解約返戻金が運用で増える分、必要とする保障が減少するため、収入保障保険(保険金額が逓減する形の保険)の保険料と比較することをお勧めします。ちなみに収入保障保険は定期保険より更に割安に加入できます。

 

商品を選択するときは、ご自身の価値観やライフプランにあっているかどうかを、数字で具体的に確認することが必須です。

 

『変額保険の解約返戻金で資産形成すること』も、『投資信託をご自身で買い付けて資産形成をすること』も、リスクを取っているという点では同じです。

せっかくリスクを取っていらっしゃるのであれば、それに見合うリターンを求めやすい商品を選択しましょう。

 

 

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