2020.06.26(Fri)
住宅ローンの頭金で支出大!貯金はいくら残す?運用中資産はどうする?
ライフプラン / 住宅 / 資産運用住宅の適正購入額を知るために、ライフプランを立てる30代40代の共働き世帯は増えてきています。
それ自体はとてもいい事!
『無理なローンを組み、途中で売却など不本意な結果になることを避ける』には、ライフプランは欠かせません!
しかし、ライフプランを住宅購入適正金額を知るためだけに使うはもったいない!
ライフプランは、大きなお金が動く時こそ、今後の効率的な資産形成をする上でも重要な指南役を果たしてくれます!
例えば、ウチの場合、『頭金を出した後預金ってどれくらい残しておくべきか?』
また、金融資産が現金以外でもある場合、『住宅購入に必要な費用をどの金融資産から捻出するか?』『継続中の運用止めちゃっていいのか?』とか。
アラフォー子育て中共働き夫婦となると、現金以外にも保険や投資信託などほかの金融資産を保有していることもほとんど。
その中で、どこから取り崩していくべきか…
現金から?
保険から?
運用中の投資資産から?
持ち株から?
ここを適当に決めてしまっている人が結構多い!!
→その結果、効率的な資産形成のチャンスを失っている!方も沢山います。
今回は、住宅購入の後、『現金としていくら残しておくべきか?』また『取り崩す資産の優先順位の付け方』についてお伝えします。
ポイントは、
- ・ライフプランを無視して頭金を決めると、後で泣きを見ます。
- ・安易に崩しやすい投資資産を取り崩すと、資産形成のスピード減になる可能性があります。
長い人生で必要なお金を『無駄なく準備するため』にも、この2つは必ず避けて通りましょう!
3つ種類の資産
このブログでも以前書いてはいますが、資産は大きく3つに分けることができます。
- ⅰ流動性資金…現金として口座にあり、いつでも引き出せるもの。生活費の半年~1年分は手元に置いておきたいお金。5年以内に使いそうなお金もこちら。
- ⅱ目的性資金…かつての定期預金や保険のように、流動性に欠けるが元本割れの心配もなく、利回りが若干ⅰよりも良いもの(マイナス金利発動以降、適切な商品はなし)。インフレに弱い。
- ⅲ投資性資金…元本保証はないがインフレに強い特性があるもの。10年以上後に利用する予定のお金を対象にするのがお勧め。
この中で、頭金を準備する時に注意が必要なのは
ⅰの流動性資産で残しておく金額
ⅲの投資性資産を完全に解約してしまわない
ことです。
頭金等を払った後、貯金はいくら残しておくべきか?
緊急予備資金は生活費半年分以上
住宅購入の後も手元に残しておきたいのが、種類ⅰの流動性資金。
その金額の目安としては半年~1年分の生活費分で、現金として最低限取っておきたいお金となります。
『半年以上…。結構多いな。』と感じる方も多かったかもしれませんが、コロナウィルスのように自由に経済活動しにくい状況が中長期にわたることもあり得ますので、これくらいの予備資金は確保しておきたいものです。
また他の使い道としても、急な入院、リストラや引っ越しに備える、大きな買い物にもすぐに出せる…というように、すぐに引き出せるところにあることが大切です。
5年以内に使いそうなお金も現金でキープ
また、そういった緊急時以外のことにも目を向ける必要があります。
ここでまず一度目のライフプランの出番になります。
これは、将来お金がどのタイミングでいくら必要かを知るためです。
将来の予想なので、ピッタリそのままハマることもないかもしれませんが、教育費や老後資金などある程度目安が付けられます。
どのタイミングでどれくらいの資産が取り崩されそうか目安をつけることで、今後の住宅以外でお金がかかりそうな教育費などにどのくらいの影響があるか?を確認します。
例えば、『子どもの教育費として、まとまった金額で5年後からかかりそうだ』と分かっているのであれば、その資金は現金で準備しておくのが無難です。
10年後以降に使う予定の資金であれば、積極的に資産運用での形成を取り入れていきましょう。
過去にはこんな実話もありました…。
ご相談者は投資好きな方で、気が付いた時にはⅲの投資資産ばかりを増やしてしまっていました。
子どもの学費などでお金が必要なタイミングが来ているが、絶賛株価下落中。
現金や保険では必要なお金が準備できない…
泣く泣く元本割れを覚悟し、投資性資産を解約…
ライフプランを無視して、自分の好きな資産にばかり偏らせていると、結果として非効率な資産形成をしてしまっていることはよくあります。
資産を形成する時は、必ずライフプランを立てて、それぞれ必要な金額の割り出し、タイミングを知った上で、貯める方法を考えましょう!
また全体のバランスで言うと、資産全体のバランスはⅰの流動性資産とⅱの目的性資産で50%以上あったほうがいいと考えます。(一般論です。すべての方に対して適切とは限りません。)
頭金を払うためにどの資産を取り崩すか?(優先順位の付け方)
コツコツと貯めてきた虎の子。
これも崩し方によっては、将来の資産に大きな影響を与える結果になる可能性もあるため、十分に気を付けること必要です。
取り崩すためには以下のステップで進めます。
- ①ライフプランの確認(確認済みと仮定)
- ②持っている金融資産の確認
- ③崩した後の金融資産のバランスを確認
緊急予備資金等を計算する際に、ライフプランは作成済みとしてお話を進めます。
持っている資産の確認
まずは持っている資産の把握から。
アラフォー共働き夫婦がだいたい持っている金融資産の種類は
・現金
・貯蓄性保険(学資含む)
・投資信託
・確定拠出年金(iDeCo)
・会社の持ち株
・外貨
の大体この辺りに分けられます。
一覧に出したら、以下をチェックしてみましょう。
- チェック1:3つの資産(流動性・目的性・投資性)に分けて、全体での割合に偏りがないか?
- チェック2:保険は払込保険料と解約返戻金はどちらが大きいか?
- チェック3:住宅購入後の資産全体のバランスをチェック!
3つの資産(流動性・目的性・投資性)に偏りがないか?
ご相談者に多いパターンが、この3つのどれかに偏っているケース。
現金ばかりだったり、保険ばかりだったり、投資ばかりだったり…と人それぞれ好みと考え方の違いで差はあるとはいえ、偏っている人は多いです。
特に注意して頂きたいのは、奨励金目当てで会社の持ち株に多くの資産を集中させている人!
『株』という値動きのかなり激しいものに多くを投じている上に、会社の業績で給料やボーナスが減る時は、おそらく株価も低迷している可能性は高い…と『泣きっ面に蜂』状態になります。
詳しくはこちら→持ち株の奨励金って本当にお得ですか?
まずは、この3つの資産のバランスを大枠で確認します。その中でバランスが著しく高いものが取り崩し対象の選択肢となりえます。
保険は払込保険料と解約返戻金はどちらが大きいか?
保険が好きな方は、保険ばかりに資産が偏っていることも少なくありません。
特に最近は外貨建ての終身保険に資産の半分以上を入れている人もいたり…。
3つの資産でのバランスの観点から考えると、勿論取り崩しの対象となりえるわけなのですが、解約に慎重にならざるを得ないのが、この保険という商品。
一時払いで、現時点で払込保険料よりも解約したときの戻り金方が大きいという商品であれば、もれなく取り崩しの候補に入れたいところです。
しかし、払込期間が長く設定されていると、解約したときの戻りが著しく低いケースも多く、十分な検討が必要です。
ここ数年の保険商品に言えるのは、『資産形成の手段としては有利だと言えない』ことです。
つまり、現金で持っているのとそんなに変わらない利率なのに、解約時は大きなペナルティを課せられるという…。
そんな保険商品をこれから何年も、何十年も積み立てていくのか?…それもまた微妙です。
それであれば、つみたてNISAやiDeCoなど節税効果もある積立方法を選択した方が最終的には効率よく資産形成ができる可能性も高いです。
これに関しては、販売を担当した保険会社の人以外の(例えば独立系FPなど中立的アドバイスができる人)に相談し、解決策を模索することをお勧めします。
住宅購入など大きなお金が動くときに、『過去に失敗してやってしまった保険を整理する』というのは良いタイミングになることも多いものです。
解約や払い済みを検討してみることをお勧めします。
大きなお金を動かした後、3つの資産のバランスは?
最後にチェックして頂きたいのは、
大きなお金を動かした後、この3つのバランスはどうなりそうか?
ということ。
例えば、住宅購入の時に『保険を解約したらペナルティがあるからやめて、運用中の投資信託をすべて解約した』とします。
それによって、投資性資産がゼロになった。
それもそれで一つの選択肢ではあります。
しかし、保険よりも解約しやすいという理由だけで(解約控除がない場合も多い)投資信託など『資産運用中の商品をすべて解約してしまう』というのは、将来の資産形成において、運用で資産を増やすという大きなチャンスを逃しているということでもあります。
資産運用は基本的に複利で雪だるま式に資産が増えていく可能性があるもの。※分かりやすくはこちら→マネックス証券の複利の効果のページへ飛びます。
投資は早く始めれば始めるほど有利となるのです。
せっかく始めた資産運用であれば、『なんとなく解約しやすいから』という理由だけですべての運用資産を取り崩してしまうのはやめましょう。
まとめ
緊急予備資金と、5年以内に使いそうなお金を現金でキープできたら、後は『足りないお金はどこから引っ張ってくるか?』を考えます。
そんな時、
『解約控除が今はあるから』
『手続きが面倒だから…』
…そんな理由だけで取り崩す資産を選んではいけません。
その時の手軽さや『今プラスになっているから』と言った短絡的な理由だけでなく、ライフプランを見据えた上で、『どの資産を解約すべきか?』じっくり検討することが、住宅購入後の資産形成も順調に継続できる第一歩になるはずです。