2022.10.17(Mon)
子どものためのマネー教育で一番伝えたいこと
マネー教育最近、子どものお金に関する教育に熱い視線が送られているのを感じます。
日々ご相談を受けている方からのご質問が増えてきているのを肌で感じたり、日経新聞でも特集が組まれるのを目にすると、今後も社会的ニーズや個人の意識は高まっていくんだろうなぁと感じていたりします。
お金の教育と言ってもとても幅が広いと思うのですが、今回は子供を持つ親であるFPとして、どうしても伝えておきたい超重要ポイントをお伝えします。
FPが子どもに伝えたい重要ポイント
子どもがお金について学ぶ目的とは
まず抑えておきたい重要ポイントは、子供がお金について学ぶ前に、その目的を明確にしておくことです。
お金について学ぶ目的は何でしょうか?
より多くのお金を貯めること?
投資で大成功すること?
いいえ、そのどちらでもありません。
子どもがお金について学ぶ目的は、お金とうまく付き合える大人になること
そう、お金の不安から解放されたり、お金を理由に諦めることがより少なくなる人生、つまり、お金に振り回されない人生を送れるようになるための下準備なのです。
実際、『子どもへのマネー教育』というと、『じゃ、投資のこととか教えてくれるの?私ぜんぜんわからないから~』なんて話になりがちです。
FPという職のイメージからか投資で資産を大きく増やす…とか、お得な商品は…とかそういったことを期待されがちなのですが、それだと『本当に大切なこと』を見失ってしまいます。
いきなり子どもに投資や金融商品の話なんて、それこそ義務教育をすっ飛ばしていきなり高校の授業を受けようとするようなもの。
決してお勧めできません。
では基礎から…と考えて、今の家庭科の教科書のお金教育の部分なんかを見てみると、『お小遣いの管理』的なお金の教育がメインで、なんだか子どもの人生が小さくまとまっちゃいそう・笑…で、親としては考えてしまいます。
日々の相談から気が付くこと
FPとして、私は有難いことに日々多くの方からご相談を頂いています。
その中には、年に一度の健康診断のように、年に一度資産状況の確認、ライフプランのアップデートをして状況の変化に対応しようとする方も少なくありません。
定期的に面談をする、しかもそれを10年以上続けていると、『だからこそ見えてくるものというもの』に気が付きます。
1人の、もしくは1世帯の資産状況やライフプランを長期にわたり、定点観測してきたからこそ、『このポイントがしっかりしているからうまく回っているんだな』『ここの部分の習慣が原因で、なかなか改善に結びつかないんだな…』と気が付くことが少なからずあるのです。
そんな経験から、子供が大人になった時にお金に振り回されないようにしたりうまく付き合っていくためには以下の3つの要素が必要不可欠だと考えるようになりました。
①自立できるような収入を得られるようになること
お金がすべてではありません。
収入が高い人だから、偉いというわけでもありません。
でも、生活を維持継続していくために、お金は、そして収入は必要不可欠です。
ずっと親が子どもをサポートできればいいのかもしれませんが、多くの場合で親は子供よりも先に死にます。
子どもが生活していくためには、自分でお金を得ていくことが必要なのは紛れもない事実。
お金に振り回されないように生きるためには、収入を得ることの大切さ、得るための方法には選択肢があることなど、まずは仕事と収入、それによる人生への影響をリアルに伝えていく必要があると考えています。
『自分が送りたい人生を送るためには、どれくらいの収入が必要なんだろうか?』
子どもとはいえ、10歳前後になってくるとお金のことに興味を持ったり、お金が理由で大人の行動が変わることも少しずつ分かってきたりする頃です。
そんな時が働くことや収入について親子で話す大チャンス!
こんなことを伝えてみましょう。
親は一生、子どもを経済的にサポートしないということ。
子どもにお金を稼ぐ方法が色々あること、例えば会社員として働くことや事業主となること、起業することなどの選択肢があり、それぞれメリットデメリットがあること。
職種や業種によって給与が違うことも多いこと。
自分のなりたい職種、得たい収入を得るためにはどのような学歴やキャリアパスが必要になりそうかということ。
そういったことを少しずつでもいいので折に触れて伝えてみましょう。
子どものお金に対する意識、勉強に対する意識も少しずつ変わってくるはずです。
人によっては『そんな現実的なことを子どもに!』と考える方もいるかもしれません。
しかし子どものころからでも、こういった現実をぼんやりと知っているのと知っていないのでは、将来の収入の得方やその選択肢は全然違ってくると考えています。
②支出のコントロールができるようになること
断言します。
支出の傾向…浪費に限らず、消費を我慢できない性分は、なかなか改善しません。
先述したとおり、私は定期的に面談をしている方が多くいらっしゃいます。
ほとんどの方は収支のバランスに関して問題ない方ばかりですが、全体のご相談者の5%くらいでしょうか…このままだとライフプランがまずい!という方もいらっしゃいます。
その原因のほとんどは収支バランスがうまくとれていないこと。
一般的に、収支バランスが問題がなければFPはみだりに『支出を減らしましょう』という話はしません。
なぜなら、その前にやれることが沢山あるからです。(積み立て方法の見直しや保険の見直し、長く働くことの検討など)
でも、それらを講じてもライフプランの破綻が将来的に濃厚であれば話は別です。
その場合は『支出を減らす』しか手が残らないこともありえます。
FPとして、言ってみれば『待ったなしの危機的状況』。
それでも…悲しいかな。大人になってからその消費行動を変える、支出コントロールできない人ができるようになる…というのは、本当に本当に難しいのです。
なので、この点においては小さなころからの習慣として、『買い物は欲しいものと必要なものを分けて考える』や『自律心』みたいなものを育てていくことがとても重要になると感じています。
③運用に対して柔軟な姿勢であること
以前は『運用は一部の富裕層がするもの』と考える人もそれなりにいたかもしれませんが、少なくとも現在、この令和の時代においてはそれは当てはまりません。
自分の資産を育てるために、そして守るために長期国際分散投資は、欠かせないものになってきています。
②の支出コントロールがしっかりできるようになれば、ただ貯蓄するだけでなく、資産運用も含めて資産形成をすることに挑戦してみましょう。
親が分からないから…ただそれだけの理由で、子どもから投資の興味やチャンスを奪ってはいけません。
子どもの頃からの投資経験は、複利効果によって資産を大きく増やす可能性があるだけではなく、子供自身の経済への興味を高めてくれます。
また、子供時代は小さな失敗を沢山させたいそんな時期。
下落時にも動じない冷静さ身につけたり、情報に振り回されない投資行動がとれるような糧となるはずです。
まとめ
2022年4月より、成人が18歳となりました。
今までの18歳ができなかったような金融商品契約(ローンやクレジット)も親の了承なくできるようになるとのことで、金銭トラブル回避の意味も含めて若年層への金融教育の必要性が現実的に高まっています。
…でも、18歳からでは遅いんです。
『18歳なんだから自分で決められる!』そんな状況までに仕上げるには、それ相応の準備が必要です。
- ①子どもが自分で経済的自立を果たす
- ②子どもが適切な支出をできるようになる
- ③投資もしながら自分の人生に必要なお金を形成をできるようになる
この3つは子どもが大人になった時にお金で苦労しないようにするための最低条件です。
でも大前提として、子供にしっかり伝えておきたいのは、
お金は、人生にとってとても必要なものだけれども決してすべてではないこと。
お金はただの手段で、
やりたいことをやるためや、送りたい人生を送るための手段であり、決して目的としてはならないものです。
あなたが子どもに与えてあげられる環境や教育の一つに、お金に関する教育があれば、それは子どもの将来にきっと大きく役立つものになると確信しています。