2020.10.02(Fri)

40代で不妊治療。お金はどこまでかけられる?

ライフプラン / 教育費・子育て

晩婚化が進み、アラフォーで妊活するも思うような結果にならず、不妊治療を受ける女性も増えてきています。

2010年に約2.9万人のベビーが体外受精で生まれ、2016年には5.4万人に増加しています。*日本産科婦人科学会が集計より

このまま晩婚化が進めば、不妊治療を経て出産する人の数も増えていくのでは…と予想されます。

『不妊治療』

 

現代では耳慣れた言葉かもしれませんが、治療が大変で仕事を調節する必要があったり、保険適用外のため費用もそれなりにかかってくるため、当事者でないと分からない苦労も沢山あると言われています。

 

今回は、特にアラフォーの女性が不妊治療に挑む時(挑んでみようと検討している時)にお金面で注意して頂きたいことを書いています。

ポイントは

治療の予算と期間はあらかじめトータルな視点で決めておくこと

 

子どもは確かにかけがえのない存在です。

しかし目の前の治療に集中しすぎて、全てのお金を費やすわけにはいきません。

その辺りを自分の気持ちと折り合いをつけながら、適切に線引きできれば理想的です。

不妊治療にかかる費用の目安

不妊治療と一言で言っても、治療の内容は様々。

費用も違いますが、大きく分けると3種類。

  • ①タイミング法(健康保険適用)…医師の指導で排卵日前後で性行為をする
  • 1回数千円程度
  • ②人工授精(健康保険適用外)…精子を人工的に支給へ注入する
  • 1回1万円~2万円程度
  • ③体外受精(健康保険適用外・助成金制度あり)…卵子を取り出しシャーレ内で精子と受精させる
  • 1回20万円~60万円

タイミング法でダメだったら、人工授精。

人工授精でダメだったら体外受精と流れで治療が進んでいくようです。(治療なので個人差があります)

参考:丘の上のお医者さん

 

それぞれの医療機関のHPを見てみると、様々な治療に関してどれくらいかかりそうなのか、なんとなく分かりますが、『最終的にトータルいくらかかるの?』という点では、人の体のことでもあるため、分かりにくいものです。

NPO法人 FINE ~現在・過去・未来の不妊体験者を支援する会~ さんのアンケート結果によりますと、

治療に個人差があるとはいえ総合的な経済負担で、100万円未満の治療費をかけた人は全体の44%、200万円未満の治療費をかけた人は全体の68%を占めていることが分かります。

※参考:NPO法人 FINE 不妊治療と経済的負担に関するアンケート2018結果より

しかし、一方で300万円以上かけている人は年々増えているというデータもあり、不妊治療で多くの費用をかけている人が増えている現象が見られます。

不妊治療の助成金

2020年9月17日の朝日新聞の記事によると、菅首相が厚生相に対して、不妊治療の助成金の大幅増額を指示をしたとのこと。

今後は、不妊治療に関する助成金にも嬉しい変化があるかもしれません。

現在【2020年10月)、対象となる治療は、③体外受精及び顕微授精(以下「特定不妊治療」とします)で、それ以外は現時点では助成金の対象にはなっていません。(細かくは自治体によって差がありますので、ご確認ください。)

以下内容の参考:厚生労働省のHP

対象者:

 (1)特定不妊治療以外の治療法によっては妊娠の見込みがないか、少ないと医師に診断された結婚している夫婦

 (2)治療期間の初日における妻の年齢が43歳未満である夫婦

給付の内容:

 (1) 特定不妊治療にかかった費用に対して、1回の治療につき15万円(凍結胚移植(採卵を伴わないもの)等については7.5万円)まで。
通算助成回数は、初めて助成を受けた際の治療期間の初日における妻の年齢が40歳未満であるときは6回(40歳以上であるときは通算3回)まで。

(2)  (1)のうち初回の治療に限り30万円まで助成。(凍結胚移植(採卵を伴わないもの)等は除く)

(3)  特定不妊治療のうち精子を精巣又は精巣上体から採取するための手術を行った場合は、(1)及び(2)のほか、1回の治療につき15万円まで助成。(凍結杯移植(採卵を伴わないもの)は除く)

(4) (3)のうち初回の治療に限り30万円まで助成。

所得制限:

 730万円(夫婦合算の所得ベース。年収ではありません。)

※東京では2019年4月より、905万円が上限となっています。

国の制度のほかにお住いの自治体によって、独自の助成金制度がある場合があります。

必ず自治体HPでのご確認をされることをお勧めします。保健所や保健福祉事務所などが窓口になっていることが多いです。

ライフプランからの逆算で必ず予算を決めて

子供は生まれてからもお金がかかる

助成金制度があるとはいえ、まとまったお金が必要になる不妊治療。

確かに、子どもはかけがえのない存在です。

子どもが欲しいと思ったら、『やれる時にやれることはやっておきたい!』と気持ち、よ~く分かります!

 

しかし、子どもの妊娠や出産は、『子育ての実に最初の一歩。』

マラソンを全力で走り切ることができないように、ここで全財産を使い切るわけにはいかないのです。

まして、アラフォーでの不妊治療であれば、これから子育てが始まると考えるとなおさら慎重な計画が求められます。

そう、ここで大きすぎる費用を使いすぎると、その後の子どもの教育費や自分の老後資金で破綻してしまう可能性大。

 

子どもが生まれてからは生活費も変わってきますし、教育費だってかかります。

力の入れすぎには、充分に気をつけましょう。

治療費の予算と期間は決めておく

治療を進めるにあたっては、『何回治療にトライするか?』よりも『トータルでいくらまで治療に使うか?』『いつまで頑張ってみるか?』という視点で取り組みましょう。

 

『いつかはきっと…』と願う気持ちもありますが、エンドレスに支出することはできません。

夫婦で話し合い、不妊治療をすると決めた時に

  • ・予算はいくらまでとして考えるか?
  • ・治療期間はいつまでとするか?

の2点は少なくとも決めておきましょう。

不妊治療にかかる費用や期間の限界を夫婦で話し合い、必ず事前に線引きしておきべきです。

中長期的な視点での確認にはライフプラン作成がお勧め

子どもがいる人生か・いない人生か、1人いるのか、2人いるのか…とその違いは夫婦にとっても大きなインパクトがあるため、できる限りのことをしたい気持ちも、勿論理解できます。

特に二人で収入のある共働きの場合は、不妊治療に関してもできる限り大きな予算を取りたいと考える場合もあるでしょう。

しかし、今後の夫婦の人生や子どもが授かった時を考えた場合に、『我が家の場合、一体どれくらいの予算が不妊治療の予算として適しているのか?』中長期的な視点で客観的に見極めるのも難しいものです。

その点をクリアにするには、ライフプランの作成が解決策となりえます。

中長期の収支をざっくりでも確認できることで、感情ではなく現実的な数字から予算と時期を決められることは、自身の納得感につながりやすいと考えます。

 

特にアラフォーでの妊娠・出産となると、幸運に感謝しつつも、子どもの教育費がピークになりがちな大学生時代に自分は還暦。

アラフォー出産の場合は、収入が下がってきている上に、老後のための生活費も準備しなければ…という経済的に難しい状況に陥りやすい特徴があります。

 

ライフプランは、FP協会など以下のページで簡易なライフプランシミュレーションができるようにしていますし、弊社のような独立系FP事務所でも作成することが可能です。(お問い合わせはこちら

期間や予算を決めきれない、不安があるという人はまずはライフプランの作成をしてみましょう。

不妊治療や子育てをしながら仕事を続けられるか?

ライフプランを作る時に、一点気を付けておきたいのが収入の推移。(特に出産や子育てを中心的にすると思われる妻の方)

 

『仕事しながらの治療。』

それは口で言うほど簡単なものではありません。

自身の体調のリズムを見ながら、医師による急な診察が必要になることは日常茶飯事ですし、治療によって自分の体調が優れないと感じることもありえます。

不妊治療しながら仕事を続けるのは、不可能ではありませんが、職種によっては低いハードルでもありません。

治療前と同じように仕事を続けられないことが想定される場合や職種の変更があり得る場合は、その点を加味した上でのライフプランを考えましょう。

まとめ

子どもがいるか?いないのか?

何人いるのか?

 

その違いは、人生にも大きな影響があります。

だからこそ、『お金に糸目なく、できる限りのことをしたい』という気持ちになるのも当然です。

しかし、授かった後やそうではなかった場合のことを全く考えずに、不妊治療を進めることはFPの立場からはお勧めできません。

 

治療を始める前に、夫婦で治療にかけるトータルの金額と期間をあらかじめ決めておくことが大切です

 

決めきれない場合は、ライフプランを作ると納得感が出るはずです。

 

経済的にも体力的にも大変な不妊治療。

ご夫婦お二人の望む結果に結びつくよう、心からお祈りしています。

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