2019.02.06(Wed)
保険で貯蓄の大部分をすることはやめましょう。
保険 / 貯蓄 / 資産運用『えっと…。老後はアメリカに移住されるご希望ってございましたか?』
『いえ、特に考えていません。』
三島とご相談者様が、資産状況や保険の内容を確認していた時に交わされた会話の一部です。
この方の場合は、ご結婚をされた際に外資系保険会社の方をご紹介され米国ドル建ての大きな終身保険にご加入されていらっしゃいました。
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この方以外にも、銀行の窓口や保険代理店の店舗でも同じように大型の外貨建ての保険に加入されていらっしゃる方は多くいらっしゃるようです。
『円建てよりは利率がいい』というのが大きな理由のようです。
確かに『一部の資産を、外貨建ての商品で持つ』という選択肢はあると思います。
しかし、よくよくお話を聞いてみると、毎月貯蓄できる金額のほとんどを外貨建ての保険に入れているという方も少なからずいらっしゃいます。
お子様がお金がかかる10年後にも、高額なドル建ての保険料の支払いが続く設定になっていたりもします。
その結果、貯蓄のほとんどがドル建てになってしまっています。
資産運用の観点から見ても、貯蓄の大部分を外貨建て保険に偏らせてしまうのは問題です。(投資の基本は分散&長期)またライフプランの面からみても、子どもの教育費がかかるころには保険料の支払いは終了させておくべきですし、場合によっては月々の払込金額の設定が自由にできる投資信託も検討すべきです。
三島が考える外貨建て保険の出番は3つに絞られます。
- ①子どもに将来アメリカに留学させたい、自分の老後はアメリカだと決めているので米ドルが必要となると分かっている方(保険金や解約返戻金を円に換金する必要がない)
- ②保険が必要で、かつ掛け捨ては嫌なので貯蓄性あるものを好む方(終身保険など)
- ③資産があり、分散投資の一つの選択肢として選択される方
理由は
①については、円に換金する必要がないため、為替リスクが回避できます。それこそ、よい利率のメリットをそのまま受けることができるためお勧めできます。
②については、資産運用が目的でなく、まず保険を必要とされているというところがポイントです。
現在まで続くマイナス金利の影響で、円建ての終身保険(貯蓄性のある保険)で保険を準備するのには、過去と比べてもかなり保険料を払います。
例えば、40歳女性が円建ての終身保険500万円に65歳払いの条件で加入した場合、月々の保険料は最も安いところでも12,990円です。
一方米国ドル建ての50000ドルに65歳払いの条件で加入した場合、月々の保険料は79.25米ドルです。(生命保険比較検索システムナビットより)
米国ドル建て保険料は、払込も米国ドルになるため為替レートの影響を毎月受けます。
そのため、円で保険料をいくら払ったかは払い込んでみないと分からないため、円建てとドル建てが円で累計いくら払ったか比較することは現時点ではできません。
しかし注目すべきは、日本円の終身保険の場合500万円の保障に対して3,897,000円(約78%)払っていますが、米ドル建て保険の場合50,000米ドルの保障に対して237,775米ドル(約48%)支払うということです。
『少額な保険料を払うことによって、万が一の時はいつでも必要な保険金を受け取ることが保険の原点』と考えると、保険としてはドル建ての方が優秀なのではないでしょうか?
③に関しては、色々なケースがあります。
資産はあるのだけれど、どうしても株や投資信託は気持ちが向かないので外貨で運用したい方や、公認会計士さんや資産運用会社にお勤めで自由に投資商品が選べないため外貨建て商品で運用したい方が該当します。
一旦始められた外貨建ての分厚い終身保険に手を付けるのは、なかなか勇気のいることかと思いますが、バランスの取れた運用を続けられる方の10年後20年後は全く違います。
ご自身のライフプランを見据え、それに合うファイナンシャルプランニングをしてください。