2021.09.22(Wed)
【ESG投資】子育て世代にとってのメリットデメリット
資産運用いつの時代にもあったはずです。
いわゆる流行りものスウィーツとなるものが。
ティラミスやらパンナコッタやらベルギーワッフル、マカロン…最近だとタピオカドリンク。
でも流行った歴代スウィーツを振り返ってみても、そのまま定番として生き残っているスウィーツなんてほんの一握りです。
そして私自身、『このスィーツの流行り廃りにとてもよく似ているなぁ』と感じる投資があります。
…それは、何らかのテーマに対して投資をする『テーマ型投資』。
例えば、かつてのITバブルであったようなインターネット関連株、ブリックス、中国株、AI関連株…
そんな、その時代の旬といわれるような業種や会社だけを集めた投資信託などが、証券業界では新商品としてコンスタントに開発され、販売され続けていたりします。
でも資金が流入し続けるテーマ型の投資信託なんて…、例えば5年以上継続して資金が流入しているテーマ型投資信託なんて私が知る限りほとんど存在しません。
…では。
最近よく耳にするこの投資、ESG投資はどうでしょうか?
これも所謂テーマ投資の域を出ないものなのでしょうか?
それとも長期分散投資の一つとして、定番となるような投資になるのでしょうか?
子供を育てる世代にとっての、ESG投資のメリットとデメリットを考えてみたいと思います。
ESG投資とは
ESGと言えば、
- 環境(enviroment)
- 社会(social)
- 企業統治(governance)
のことです。
持続可能な社会の実現に向けて、現代社会が抱える課題を表しています。
そして、この3つに配慮している企業を重視・選別して行う投資がESG投資と呼ばれるものです。
各国のESGの規制の強化が進んでいるためペースは鈍化していますが、世界のESG投資額自体は増えており、2020年には35兆ドルに達したと日経新聞が報道しています。(2018年より15%増)
子育て世代にとってのメリット
ESG投資と同じゴールを目指している可能性大
ESG投資の投資先は、基本的に短期ではなく、長期視点(時に超長期視点)で決定されており、長期分散投資をする個人投資家と目指すゴールは最終的に同じだと考えます。
例えば、私たちの年金を運用しているGPIF(独立行政法人)もESG投資を行っていて、HPにESG投資を進める理由が書かれています。
- 年金を運用するGPIFは、長期にわたって安定した収益を獲得する必要あり!
- ⇒資本市場全体が持続的・安定的に成長することが重要
- ⇒長期で見ると環境問題や社会問題の影響から逃れられないので、こういった負の影響を減らすことが、投資リターンを持続的に追求するうえでは不可欠
- ⇒ESG投資を進める!
(参考:GPIFのESG投資の取り組みを筆者要約)
『遅かれ早かれ、環境や人権に優しくない会社は社会から受け入れられなくなる(選ばれなくなる)から、中長期的にリターンも上がらなくなって、存在できなくなるよ』ということでしょう。
だから、短期ではなく10~20年後の教育費や老後資金などを形成するために、長期投資を実行している子育て世代とは、投資対象がかぶっていても全く不思議ではないわけです。
むしろ、最終的なゴールとしては、同じところを目指していると考えられます。
また現在ESGに取り組むことは世界中の国や企業にとって大きなミッションの一つにもなりつつあり、この『中長期的な世界の大きな流れに乗っていく』ということも、投資家として、非常に重要な視点です。
子供に投資の意義を広く伝えられる
ESG投資のメリットの2つ目は、投資の社会的な意義を分かりやすく子供に伝えることがしやすいことです。
子供が社会や投資に興味を持ち始めた時、親子で投資について話し合うこともあるかもしれません。
そんな時に『どんなポリシーや考えをもって投資をしているのか?』『投資で応援するってどういうことなのか?』分かりやすく説明する先として、ESG投資は『あり』だと思っています。
インデックス投資のように日経平均やS&P500の指数に合わせて動くタイプの投資は、確かにコストは安いし、投資の王道です。
しかし、時に自分のポリシーに合わない会社にも間接的に投資していることもあり得ます。
つまり、環境を著しく破壊する会社や武器製造の事業としている会社に投資しているということも、インデックス投資であればあり得るわけです。
そこに、投資資金の一部をESG投資に回していることやその理由を伝えることができれば、子供にとってお金の循環や投資について考える良いきっかけになるはずです。
そして何より、『将来を担う子供たちにとって良い環境のために自分も投資を通して協力している』と間接的であれ感じることで満足感を得る人も多いはずです。
ESG投資のデメリット
単なるブームで終わる可能性
『特定のテーマ投資がブームの一つで終わるかどうか?』
それは、誰にも分からないことではあります。
今回のESG投資に関してもそれは例外ではありません。
ブームで終わってしまうのであれば、長期投資の対象としては適切とは言えないでしょう。
また、急速にお金が集まり続けているこのESG投資の現状を『バブル』と考える人も一定数います。(参考記事はこちら)
個人としては、ブームに終わらず将来の子供の未来のために『定番』として…いやむしろ、当たり前の基準として装備されてほしいESG投資ではありますが、ESGに対する過熱感があるのは、否めないとは思います。
しかし、GPIFのような大きな機関投資家が積極的にESG投資を進めていく以上、この流れは主流になっていく可能性も十分あると個人的に思っています。
参考記事:日経電子版 GPIF、運用資産すべてEGSを考慮
ESG投資の評価基準は発展段階
正直、ESG投資はまだまだ黎明期です。
実際に、『何がどういう状況であればESG投資と呼べるのか?』といった部分に関する基準はまだまだ発展段階で、現時点では投資家が判断しにくい状況になっています。
そんな背景もあり、販売を進めるための戦略の一つにESGが使われているのも事実です。
『とりあえずESGってつけときゃ、今売れるでしょ。』みたいな形で、これまでの既存の投資信託の名前にESGをつけて販売するなんてこともあるようなので、その点でも注意が必要です。
『投資信託に採用されているそれぞれの企業のESGに関する取り組みの情報確認に自信がない…』という状況であれば、ESGに関する少し様子を見てからの投資でも、遅くはないと思います。
リターンを出していけるのか?がまだ分からない
ESG投資は慈善事業ではありません。
投資なので、当然リターンを求めていくものです。
『環境や人権に配慮しながら、ちゃんとリターンが出せるのか?』
『ESG評価が高い企業が、より高いリターンが出せているのか?』
そういった投資家において注目したい点において、少なくとも日本においてはまだ有為な関係は確認されていません。
中長期の投資においては、過去のデータなども参考にして戦略を考えることがありますが、現状確認できるESG投資の収益率に関するデータは、GPIFが出しているもので期間も3年程度の短いものです。
(参考資料:ESG投資を巡る課題)
慎重に投資したい人にとっては、ESG投資の評価基準制度が整い、データの蓄積が十分にされてESGに企業が取り組むことでリスクリターンに影響するのか?を見極められるようになってから投資するのも一つです。
まとめ
近年、世界中が持続可能な未来に向けて、本気に取り組みだしています。
ESG投資は、まさにその表れの一つです。
一人の親としては、子供の未来をより良い形にするためにESG投資を応援したい気持ちが強くあるのが正直なところです。(また投資スタイルも短期ではなく、長期投資を考えているので、目的もESG投資と同じです。)
ただ、まだまだESG投資の評価基準がまちまちだったり、データの蓄積も十分とは言えないため、現時点では投資を始めるにして判断が難しい(もしくは時間をかけて調査したい)部分も多いのが現実で、個人にとっては気軽に手が出しにくいかもしれません。
ESGに積極的に関わっていきたい!
投資のリターンはそこまでシビアに追求しない!
という人はESG投資を進めるもあり。
また、投資家として納得して投資をしていきたい人は、当面は少し様子見…という姿勢もありでしょう。
けれどやっぱり、最後に『このESG投資が単なるブームに終わらず、投資先の一つの定番として生き残っていってほしいな』と一個人として、心から願っています。