2020.09.02(Wed)
40歳代で家を買う時に注意すべきこと。よくある失敗例と買うための条件はこれ!
ライフプラン / 住宅晩婚化が進み、高齢出産が増え、住宅を購入する人の年齢も『40代で…』という人も珍しくない時代。
住宅購入者の4割は30代ですが、次いで多いのは40代で約3割くらい。(平成30年度国土交通省の住宅市場動向調査により)
しかし、いくら40代でマイホームを購入することが珍しくなくなったとはいえ、30代で購入する人よりも、慎重に物件価格や借入金額を検討する必要があります。
特にアラフォーで出産をして、これから本格的に教育費がかかる場合は、なおさら慎重に。
理由は、
- ・多くの場合、30代での収入より40代での収入の方が高く、年収のピーク(多くは50代半ば)により近くなっている
- →今の収入だけを基に借入金額を考えてしまうと、大きすぎる金額を借り入れてしまうことも。(気持ちも大きくなりがち!)
- ・定年までの期間が短い
- →55歳以降収入が下がってからのローンの返済はキツイ!
この二つ!
住宅購入は大きな買い物です。
ライフプラン全体を見据えた上で、適切な金額の住宅を購入することが大切です!
ありがちな失敗例①大き過ぎる金額でローンを組む
業種にもよりますが、40代と言えば20代や30代の頃よりも収入が上がっている人も多いもの。
不動産屋さんで年収を書くと『これくらいまで借りれますよ。』と、すかさず計算機を出され、借入可能額限界の物件を提案されることも珍しくありません。
でも、ここでまず注意!
借りられる金額と返せる金額は違います!!
- 40代になり、上がった収入で借りることができる住宅ローン借入金額
- ≠あなたの子どもの教育費&老後資金の準備もできる住宅の適正額
という事実を知ってください。
さて、ここからが明らかに20代や30代で住宅を購入する人とは違う落とし穴です。
2,30代の彼らの場合は、その時点での年収で多少大きすぎる住宅ローンを組んでしまったとしても、40代や50代前半くらいまでは収入が上昇し続けるケースもあり、『大き過ぎだったローンが結果適正額だったね…』というケースもあり得るかもしれません。(収入が上がらず、そうならないケースもあり得ますが…)
もし30歳で住宅を購入していれば、多くの日系企業が年収の頭打ちとなる55歳頃まで25年もあり、収入が上昇する期間自体は、少なくとも40代よりは長いでしょう。
35年の住宅ローン期間だとしても、多くの場合で収入のピークを迎える55歳時点で、その7割が経過しているということです。→そして65歳には完済!
一方、40歳で住宅ローンを組んだ場合、収入のピークまでは15年。
なのに、35年で組んだローン期間は4割程度しか経過していません。
まだまだこれから続く住宅ローンの返済。
収入のピークも、すぐそこまで来ている状態…。
更にアラフォーで出産した場合は、子どもの教育費も50代以降本格的にかかってきます。
そして、教育費の後には自分の老後生活がすぐに始まるのです。
『全体(教育費・住宅費・老後資金)の支出が、ちゃんと収入の範囲内で収まるのか?』必ずシミュレーションを行った上で、住宅購入金額を決めることは必須です。
ありがちな失敗②長すぎるローンで老後破綻
ローン返済期間はどうやって決めていますか?
みんなが35年にしているからと言って、40歳で購入するあなたも35年でローンを組んだ場合、75歳まで返済が続くことになります。
40歳で住宅ローンを75歳まで組んでいる場合で、現役時代の収支がトントン、もしくは住宅ローン返済額分以上の貯金ができてない場合は、55歳以降、特に年金生活に入った65歳以降にローンの返済が厳しくなる可能性は高。
老後破綻まっしぐらです。
できれば65歳までに無理なく完済できるような金額のローンを組みましょう。
40歳代でマイホームを買う条件
以上から、『40代で大きな借入金を背負って住宅を購入するということはかなりリスクが大きい』ということはご理解いただけたかと思います。
でも、決して40歳代で住宅を購入することができないわけではありません。
ただし、購入するためには2つのどちらかの条件に当てはまっていることが必要です。
①頭金を入れられる(もしくはそれ相当の金融資産がある)
40歳代で金融資産がそれなりに育っている場合、購入できる物件の選択肢が広がります。
『頭金として入れるのか?』それとも、『住宅ローン控除を満額使い切るために頭金は敢えて入れないようにするのか?』は人それぞれですが、どちらにしろ、それ相応の金融資産が手元にあるということが条件です。(金融資産は、教育費や老後資金とは別で確保されていることが条件)
どの程度の頭金が必要か?は人によって違いますが、無理なく購入できる物件価格を知るための考え方としては、
- 教育費や老後資金、生活費は別で確保。(ローン返済以外で今後積み立てる分も含む)
- →残った金額で月々無理のない返済額・返済期間を確認
- →それ以外の余裕資金を頭金もしくは将来の繰り上げ返済の資金とする
もちろん、これは住宅よりも教育費の準備や老後資金を優先した場合の考え方です。
人によって、住宅は多少無理してでも望むところに住んで、老後は余裕がなくても我慢できます…という考え方であれば、それに基づいた形でプランニングするのも選択肢です。(お勧めはしませんが…)
シミュレーションが難しいと感じる方は、不動産屋さんではなくアドバイスを生業とする独立系FPにアドバイスを求めましょう。(当事務所でも受け付けています)
②返済は65歳に終了できる借入金額である
返済期間は65歳までには終了できる借入金額であることも条件です。
これは、実際に65歳までローンを組むかどうかは別の話として考えて頂いて構いません。
つまり、前提として65歳までに返せる金額を借り入れることがポイントです。
例えば、65歳まで返済できないこともないのだけど、実際ローンを組む時はあえて長めにローンを組むことで月々の返済額を減らし、その浮いた分を資産運用し、繰り上げ返済などに充てるというやり方でもOKです。
ポイントとなるのは、65歳までには返済のめどがついていること。
『退職金あるから大丈夫!』という人も要注意。
企業の退職金の支給額平均は下降傾向。
その上私たちの平均寿命は堅調に伸び続けています。
安易に今の平均寿命で老後資産の設計をしていると、後で『足りないかも!』となりかねません。
原則、退職金は、『老後の生活資金に充てる』とお考え下さい。
まとめ
もはや、一般論や親の話などほとんど参考にならず、一人ひとりが自分の人生に向き合って、将来やお金のことを考えていなければいけないこの時代。
友人の〇〇が35年ローン組んでたから…、親がこう勧めるから…。
そんな理由で決断をしていると、後でとんでもない結果になることもあり得ます。
はい、40歳代で住宅を購入することは可能です!
でも、注意とより慎重な姿勢が必要です!!
- ・多くの場合、30代での収入より40代での収入の方が高く、年収のピーク(多くは50代半ば)により近くなっている
- →今の収入だけを基に借入金額を考えてしまうと、大きすぎる金額を借り入れてしまうことも。(気持ちも大きくなりがち!)
- ・定年までの期間が短い
- →55歳以降収入が下がってからのローンの返済はキツイ!老後大丈夫?
この2つは注意しましょう。
実際住宅購入を検討している方がここをクリアにした場合、自分の想像とは違う場所や物件を選ぶこととなる人もいるかもしれません。
そんな時は、自分に問いかけてみましょう。
今、借りられる金額で住宅を購入したいのか?
生涯にわたって、収支が合うような住宅を購入したいのか?
答えはあなたの中にあるはずです。