2023.09.07(Thu)
個人のマンション。『貸す』か『売る』かで迷ったら。
ライフプラン / 住宅『子供の学校の都合で引っ越しを検討しているけれど、今の家、売るのと貸すのどちらがいいですか?』
子どもの成長とともに、家庭の悩みも変化します。
購入当初は『ずっと住む!』と思っていた住宅であっても、気が付いたら子供が中学受験を終えてこれから6年間通う学校は、結構遠方…。
会社も毎日行く必要は無くなったし、そこそこ会社に親が通いやすいところで、子どもの学校にも通いやすいところに引っ越すことはできないだろうか…?
ライフプランが変わって住み替えも検討…こんなご相談をお受けすることがあります。
そんなわけで今回は、以下のようなご家庭をモデルにして住宅を『貸す』か『売る』かを考えてみたいと思います。
・20代で結婚
・子どもを授かったのがアラフォー。
・住宅ローンは完済
・子どもの中学校(中高一貫校)は現在の自宅から距離があるため、引っ越ししたい
※基本として、住宅を売るときはローンの一括返済が求められます。(売却益での返済も可)
※『貸す』という選択肢があるのは、①ローンを完済している場合か②賃貸で貸すための住宅ローンに借り換えている場合です。(住宅用ローンを組んだまま貸すことはできません。)
貸す場合の注意点
給与が高い人は、思ったより少ない手取りになることも…
『憧れの大家生活の第一歩!』という想いだったり、『愛着ある自宅を完全に手放したくない』という想いだったりと、様々な理由で賃貸を検討する人は少なくありません。
でも、まず気を付けた方がいのは『賃料の手取りは思ったより少ない…』という状況になりうることです。
特に年収が高い人は要注意!
不動産からの所得は、あなたの給与と同じ税率で課税(総合課税)されますので、年収900万円以上の人は賃料の3割以上が税金に…ということもあり得ます。
賃料を当てにして次の住宅ローンを組もう!と考えていた人には大きな痛手になることもありますので、注意が必要です。
初期費用、維持費用がかかる
二つ目は、賃貸事業にはそれなりの費用が掛かること。
貸出前に傷んでいる部分があれば、リフォームが必要ですし、貸し出し中に備え付けのエアコンや給湯器の不具合があれば、大家さんであるあなたの出費となります。
また、固定資産税やマンションの修繕積立費も家の持ち主である大家さんの出費です。
…そう、持ち続けるだけでお金がかかるのが不動産。
そのあたりも考慮した上で、賃貸不動産として保有することにメリットがあるのかどうか?シミュレーションをしてみる必要があります。
もちろんシミュレーションする時は、空室リスクも考慮しましょう。
貸す場合のメリット
持っている不動産としての価値の上昇
そうはいっても、不動産を所有することは注意点ばかりではありません。
例えば、所有する不動産の立地が良く、将来的に不動産としての価値が落ちない、むしろ上昇する!…ということが期待できそうであれば、保有し続ける価値は十分あり得ます。
実際、ここ10年の都内の不動産価格は急上昇中。
すべての不動産が値上がりしているわけではありませんが、もしこのような状況の下で不動産を保有し続けていた場合、資産として大きく上昇した!持っていて良かった!という結果に十分なりえます。
いつかは自分が戻って住むという選択肢も
また、自分が年を取って子供が離れていき、夫婦二人の住処について再度住み替えを考えた時、現在の住まい以外に選択肢があるのは心強いことです。
例えば、今の住宅が手狭で広いところに住み替えるようなケースの場合は、最終的に夫婦二人になった時にダウンサイズした住まいでの生活もあり得ます。
そんな時に『ゼロ』から住まいを探すわけでもなく、『もともと所有していた物件に戻って生活する』という選択肢があるのは、大きな助けとなる可能性があります。
売る場合の注意点
一方で賃貸でなく『売る』場合にはどんな注意点があるでしょうか?
住宅を売却すると、住宅ローンを完済している場合大きな現金を手元に置くことになります。
(ローンを完済している場合)
売ったお金に対する税金は…と気になる方もいるかもしれませんが、現在の住宅を売って新たに住宅を購入する場合は、3000万円の控除が使える(住宅を売った時に譲渡所得の最高3000万円まで控除される制度)ので大きな課税にならない可能性が高いです。
手元の現金を、新しく購入する住宅の頭金にする…と考える方もいるでしょう。
でも全額を頭金として購入に充てることがベストなのか?一部運用に回す方がいいのか?
『手元に残った現金をどのようにするのか?』を、ライフプランに合わせてしっかり考えなければいけません。
最近の物価上昇を目の当たりにして、『大きすぎる現金をそのまま放置しておくこと』自体にも危機感を感じている人も多いでしょう。
実際に、物価上昇(インフレ)する世の中で、現金を放置しておくと現金の価値は目減りします。
貯金が1000万円を超えたら。ペイオフ以外に本当に気をつけるべきこと
受け取った現金は、
・どの程度新しい物件の頭金に入れるのか?
・運用するとしたら、どのように運用するのか?
をライフプランに合わせて考えていくことが重要になってきます。
売る場合のメリット
売る場合のメリットは、『物件を人に貸す』ということで発生する様々な費用とわずらわしさから解放され、現金をすぐに手にできることです。
不動産オーナーからのお話をしていると、『空室になっている間は、結構気になる』ですとか『入居者の人のことで、ちょっと困ってて…』といった不動産賃貸業をしているからこその心配事というのが、結構あるんだなぁ…と感じます。
人によっては、ストレスにならない人もいらっしゃいますが、人によってはそれなりのストレスに感じてしまい、継続できない方もいらっしゃいます。
『色々なことにわずらわされたくない…』と考える人であれば、損得で考えすぎないのも大切です。
金銭的なことよりも、気楽さストレスのなさが人によっては優先される場合もよくありますので、ご自身の性格も考慮した上で検討してみましょう。
まとめ
『住宅の住み替え』は人生において大きな決断の一つとなります。
また状況によっては、
・売るのか?
・貸すのか?
の選択肢だけのこともありますが、ここ最近の都内の不動産のように価格が高騰してくると、
・売って賃貸で生活する
・貸して自分は別の賃貸で生活する
という選択肢も検討してみた方がいい場合もあります。
人は、『どっちがお得か?』ということに目が奪われがちではありますが、場合によっては目の前の損得だけにとらわれず、自分自身の価値観や性格的なところ、ご家族のライフプランも含めて選択をした方が中長期的には良い結果となることもあります。
住宅購入の場合もそうですが、住み替えの時は、より複雑になりより選択肢も増えるので、ライフプランを含めいくつかシミュレーションをしてみてください。
そして最終的に、『ご自身にとってのベスト 』を見つけていきましょう!