2022.09.16(Fri)
【ちょっと待って!】円安で外貨建て保険を解約したい場合のチェックポイント
資産運用このところ耳にしない日はない『円安』という言葉。
『20年以上振りの円安水準』のようで、私たち一般消費者が購入するモノの値段にもジワリ影響が出てきていますね。
例えば、多くの方が愛用されているだろうiphone。
日本円ベースでは値上げとなっていますが、実は米国建てでの価格はiphon13 proもiphone14 proも変わらなかったりします。(恐るべし円安!)
…そんなわけで円安により価格が上がったものも多いと感じる昨今。
しかし、それでも外国人旅行者以外で、この円安を『得したかも♡』と感じている人もいたりするのです。
それが、リーマンショック以降に『円→ドル』に換えて持っていた人。
例えば、数年前にどこかの保険ショップで勧められたドル建ての年金やドル建て終身保険でほったらかしになっていたもの、満期になったもの。
…『これ、今解約した方がいいですかね?』というご相談を受けることが増えています。
確かに、為替だけ見ていたら『今解約したら〇万円もお得じゃない!』となるかもしれませんが、そうは単純ではありません。
大きく増えた外貨建て年金を解約するときに注意するのは、
- タイミングではなく、『税金』
です。
解約する前に、一時所得となって返ってきた解約返戻金は、総合課税されて、来年のあなたが負担する税金を大きく変えてしまうかもしれないことを知っておきましょう。
外貨建て保険を解約する前に注意したいポイント
税金
お給料でも年金でも、受け取る時には必ず税金がかかるように、ドル建ての個人年金や終身保険を解約した時も所得税の課税の対象となります。(契約者=被保険者の場合)
課税される金額は、
(満期金/解約返戻金 - 既払込み保険料 - 50万円) × 1/2
で求められ、その金額がそれ以外の所得(会社からのお給料など)と合算されて課税されます。
ここで考えて頂きたいのが、
満期金を受け取り、一時的に所得が上がる
→所得税が上がる
→住民税も上がる
→保育料が上がる(子育て世帯の場合)
のように、何も考えずに『お得そうだから!』という理由だけで満期金や解約返戻金を受け取ったがために翌年の収支が思いの外悪化することがありえます。
特に受け取った時の利益が大きかった場合、住民税の上がり方が5万円以上になることも!
『何かお金を受け取った』『給与が大きく上がった』そんな嬉しいことがあった時は、翌年の税金のことを確認してから喜びましょう。(ぬか喜びにならないように!)
また、契約から5年以内の解約も源泉分離課税の対象となり、手取りが減りますので要注意です。
源泉分離課税の対象となると、満期時の受取金額(配当金を含む)と払込保険料との利益に対して20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)の税金がかかるため、生命保険会社は税金を差し引いた金額を受取人に支払います。
解約控除など諸費用
そしてもう一つ気を付けたいのが、解約の場合にかかってくる諸費用。
年金が満期のタイミングであればかかりませんが、中途解約などの場合、多くの場合でかかってくるのが解約控除と市場価格調整によって発生する費用です。
解約控除は、一般的には契約期間が長ければ長くなるほど低くなる傾向があります。
市場価格調整は市場の債券金利に影響を受けるため、場合によっては想定よりも少ない解約返戻金となることもあり得ます。
特に解約する前には、保険会社に解約返戻金やそれにまつわるコストがどれくらいかかるのかを確認するようにしてください。
解約するか迷った時のチェックポイント
『え~そんなこと知らなかった…今税金上がられても困る!!』そんな方は、以下をチェックしてみてください。
部分解約や満期金の据え置きができるか?選択肢を確認
年金の場合:
年金の場合は、満期を迎えた後に年金を据え置けるコースがないかどうかの確認をしてみましょう。
満期前であれば、満期期間を延ばすことができる商品もあります。
『このタイミングでの受取は避けたい!』と思うのであればそれも一つ。
ただし、その場合は据え置き期間中の金利のチェックも忘れずに行ってください。
著しく市場の金利よりも低い設定であれば、それもそれで考えモノです…。
終身保険の場合:
終身保険の場合は、一気に全解約するのではなく部分的に解約することを検討してみましょう。
課税されるのは、あくまでも『既払い保険料よりも多く受け取った金額に対して』ですので、
解約返戻金 + 50万 < 既払い保険料金額
である時点においては課税されません。
注意:満期保険金の一時所得が20万円を超えてしまう、または給与以外の所得と満期保険金の一時所得との合計金額が20万円を超えてしまうときは確定申告が必要になります。
まとめ
金融商品を選ぶときは注意深く検討する人であっても、解約する時期の税金についてあまり考慮せずに行動に移してしまう人は少なくありません。
『この商品でいくら得した!』『この期間でこんだけ増えた!』
…確かに減らすよりも増えた方がいいは間違いないですが、出口までしっかり考えてあげないと思わぬ課税に驚いてしまうこともあります。
本来は、
- 金融商品を選ぶときも自分自身のライフプランを考えた上で、目的に合わせた資産形成の方法や商品を選んでいくことが基本
になります。
『どれだけ貯めるか』や『どれだけ増やすか』ではなく、『自分にとって必要な資金はこれくらい』で『それを達成するために必要な利回りは〇%だから…』という視点で、積み立て方法や商品選択をしていくと出口で失敗!という可能性はかなり少なくなるはずです。
投資とその目的について考えたい方は、こちら(アラフォー出産ママの投資。目的に合わせてやってますか)をぜひご覧ください。
ゴールを設定しないと達成が難しくなるのは、勉強やキャリアだけでなく、お金に関しても同じなのです。