年金の繰り下げ受給はアラフォー出産ママの老後を救うか?
子供が20歳になる頃には、ママが還暦。
そんな アラフォー出産ママにとって、大変なことの一つが『教育費と老後資金の同時形成』 です。
これはなかなか大変で、一筋縄ではいかないものです。
頭では『これじゃぁ老後資金がなかなか貯められない〜』と分かっていても、かわいい子供を前にしてはなんとか教育費を捻出しようと努力する人も多いでしょう。
そんな『自分の老後が多少苦しくなってもなんとかしたい…』と健気に親業に勤しむアラフォー出産ママに知っておいて頂きたい老後資産状況を改善するための方法の一つが、年金の繰り下げです。
今回は、働くアラフォー出産ママの場合が年金繰り下げしたときの効果と、年金繰り下げにおける注意点について考えます。
でも以下のママは注意点があります!
注意1:【65歳で定年退職ママ】繰り下げ期間は働くことが前提
注意2:【年上夫がいるママ】繰り下げ中、加給年金はもらえない
注意3:【夫に先立たれたママ】増えた分の年金は遺族年金には反映されない
注意点を考慮しながら、子供の教育費と自分の老後資金の両方を賢く形成する方法を考えてみましょう。
コンテンツ
年金の繰り下げ受給とは
年金の繰り下げ受給を知っていますか?
私たちの年金は、通常は65歳から受け取れますが、受け取り期間は60歳〜70歳まで(2022年4月以降60歳〜75歳に)の間で、本人が望むタイミングで年金の受け取りを開始できるようになっています。
65歳より遅めに受け取ることを繰り下げ受給といいますが、繰り下げ受給した場合、一月毎に0.7%ずつ、年金が増加します。
老後にインパクトがあり!繰り下げした場合の増加額
『0.7%なんて、大したことない…』
と思ったあなた、ちょっと待ってください!
1ヶ月、年金の受け取りを遅らせることに、0.7%増えるんです。
つまり、単純計算で受け取る年金額は、繰り下げ期間1年で8.4%(0.7×12ヶ月)増え、5年で、42%UP!(0.7×60ヶ月)に、10年で2倍弱の84%UP(0.7×120ヶ月)になります!
例えば、65歳時に200万円年金を受け取る予定の人が、70歳まで年金を繰り下げたら、284万円になるって…!結構大きいですよね。
しかも、年金の受け取りは一生涯。
この 増えた金額が一生続くのですから、人生100年においては結果的にかなりのインパクトになります。
※年金額は1ヶ月遅らせると毎に0.7%ずつ増えますが、税金が引かれるため手取りはそこまでは増えません。
繰り下げる時に注意したい3タイプのママ
65歳定年のママ
もしあなたが、老後資金に対する不安が理由で年金の繰り下げを考えているのであれば、年金繰り上げ期間中は個人の金融資産を崩すことなく、働くようにしましょう。
65歳で定年であったとしても、再雇用制度があるのであれば利用したり、他でできる仕事ややりたい仕事を見つけ、年金を受け取らない期間は、少なくとも収支トントンになるよう目指します。
当たり前のことですが、65歳で退職したあなたが年金を繰り下げるとしたら、無収入。
その間に、なけなしの個人資産を大きく崩してしまっては老後の生活が不安定になることは目に見えています。
関連記事:高齢出産ママの老後は『長く働く+年金増やす』で万全に!
年上夫と結婚しているママ
特に年の差婚で夫の方が年上のママであれば、知っておいて欲しいのことが年金繰り下げ中は加給年金がもらえないこと。
加給年金とは、厚生年金を受け取っている人に扶養している配偶者や子どもがいる場合、厚生年金に加算される年金のことです。
配偶者がいる人の加給年金は、年間約39万円なります。
しかし 年金の繰り下げ中は、この加給年金を受け取ることはできません。
また、夫が65歳時点でもがっつり自分で働いているママの場合は、受給条件に合わないため受け取れません。
しかし配偶者より年下で、配偶者より早く退職する予定の人(配偶者が65歳になるときには、自分は扶養に入っていると思われる人)は加給年金が受け取れる可能性があります。
この39万円/年が何年間受け取れる予定なのか?
それとも年金を繰り下げすることの方がお得なのか?を比較して、自分に合った方を選びましょう。
・年金受給者(この場合夫)が240カ月以上厚生年金に加入している
・ママは65歳未満
・夫に生計を維持されているママ
・ママは障害年金または厚生年金の加入期間が240カ月以上ある老齢年金を受給していない
参考:日本年金機構
年金受け取り中に夫に先立たれたママ
年金の受け取りが開始してから、夫に先立たれてしまったママの年金がどうなるかご存じですか?
パターン1.亡くなられた方の老齢厚生年金額の3/4
パターン2.亡くなられた方の老齢厚生年金額の1/2 + ご自身の老齢厚生年金額の1/2
の2通りの計算方法があり、いずれか多い額が支給されます。
つまり、夫とほとんど変わらない年収で夫婦で厚生年金に加入していたの場合(フリーランスママは除く)は、夫の死後、自分の年金だけを受け取ることになります。
例えば、夫の死後、ママの厚生年金が100万円(夫婦では200万円)だった場合、以下のようになります。
このケースであれば、夫婦で200万円だった厚生年金は、夫の死後、ママの分だけの100万円になります。
パターン1よりパターン2の方が受け取れる金額が多いので、2になると思いますが、この場合ですとパターン2と自分自身の年金を比較した場合、結果的に同額になります。
しかし、夫婦間で収入の差がある場合で夫のほうが年収が高い場合は違います。
夫の厚生年金が100万円、ママの厚生年金が50万円で夫婦間で差額があるの場合は以下のようになります。
つまりママの厚生年金が少ない場合、夫が年金受給中に亡くなると遺族厚生年金が受け取れ、そもそもの自分の年金より多くもらえます。
ただ注意点としては、 年金の繰り下げをして増えた額は、厚生遺族年金には反映されないこと です。
夫もママも元気で、長寿家系!そんなご夫婦であれば、例えば夫の年金を繰り下げて二人で受け取れる年金の受給額を増やすものありでしょう。
しかし、夫の健康状況とママと夫の年金額の差によっては、夫の年金を繰り下げるより、ママの年金を繰り下げて、自分の年金額自体を増やしたほうが良い場合もあります。
まとめ
『年金の繰り下げやお得らしい…』ということが少しずつ知られるようになってきていますが、年金制度は複雑な部分もあります。
教育費の負担で、なかなか老後資金をためられなかったアラフォー出産ママにとって、老後資金を増やすチャンスにもなりえますが、様々な事態を想定して決断した方が、将来公開が少ないと考えます。
特に以下に
注意1:【65歳で定年退職ママ】繰り下げ期間は働くことが前提
注意2:【年上夫がいるママ】繰り下げ中、加給年金はもらえない
注意3:【夫に先立たれたママ】増えた分の年金は遺族年金には反映されない
に注意して最終的な決断をしてください。